
異彩ノ雫
第109章 intermezzo 或るひと夜 ~コビトの休息
嵐の過ぎた土曜の深夜
靴屋のコビトは出張中
森の番人フクロウの
急を知らせる依頼を受けて
ビーバーダムの修復へ
七人揃って声合わせ
山の急坂を駆けのぼる
小道を照らす月明かり
七つの影は縦一列
時にジグザグ 時に重なり
滑る足元踏みしめる…
── ダムが壊れたら一大事
── 靴屋が休みで助かった
川べりの住人やビーバー一家
馴染みの顔が目に浮かぶ
ほどなく着いた森の奥
はずむ息に川のせせらぎ
冴えた空気に灯がともる
(つづく)
