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異彩ノ雫

第109章  intermezzo 或るひと夜 ~コビトの休息




流木を集め 積み上げ
せわしげに
けれど 楽しげな騒動を
森の住人が見守る中
ほどなく出来た新たなダム

そのまま宴が始まる顔ぶれに
安堵の息をつく七人
ひとり またひとりと輪を抜けながら
もと来た道を引き返す


── よかった、よかった
── 間もなく夜明けだ

振り返れば薄靄に浮かぶ森



夜に朝が溶け合う中を
ねぐらへたどり着いた七人は
温めたミルクで思い思いに時を過ごす


── あのような所に
お姫様が眠り続けているとは…
午後になったら城の王子に知らせよう、と
ひとりは思い微睡み始める


── オオカミが密かな企みをしていると
あの娘に教えてやらなければ…
別のひとりは
赤い帽子の似合う近所の子を思い浮かべる



やがて訪れる夜明けと静寂
心優しい七人は
深い眠りにおちてゆく







(了)


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