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異彩ノ雫

第12章  八ノ月




夜更けのホームで

見つめ合う視線を断ち切るように

鳴り響く無情の音



ガラス越しに合わせた掌

もどかしく

ぬくもりを求めて

強く 強く押しあてる



切なげに揺れる瞳はあの日のままに

唇は

小さく4つの音に動いて

噛み締められる



触れたくて 言いたくて…



伝えきれない想いばかりが

胸の底でわだかまる



やがて

列車は動き出し

すべての時間を連れ去ってゆく







【ベル】


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