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異彩ノ雫

第133章  九ノ月 Ⅱ ③




風が運んだ雨の匂いを

胸奥深く吸い込めば

今も鮮やかに甦る…



ふたりでひとつの傘のうち

時折触れあう肩の熱と

耳元ちかくのあなたの囁き



染まる頬に俯きながら

改札から逃れれば

名残の雫に揺れる水面



髪を濡らし

駆け寄るあなたの肩越しに

今 七色の夢が架かる







【にわか雨】


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