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異彩ノ雫

第165章 一ノ月 Ⅱ




その店は
世間の華やぎにそっと目を伏せ
静かな時を刻んでいた

── …ウッドベースが胸に沁みるね

ふと洩らした独り言

応えるように
差し出された深紅のグラスは
シャンボール ロワイヤル

控えめに
けれど少し格調高く
ひとり祝うnew year

まだ見ぬ月日にグラスを掲げれば
クレオパトラの夢に包まれる







【new year】


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