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異彩ノ雫

第210章  六ノ月 Ⅲ




道化師がひとり
嗚咽を洩らす幕間のテント裏…

背をまるめ
顔を覆った両手から
溢れ落ちる水色の雫
おずおずと寄り添うように
茶色の犬が足元に蹲る

胸に満ちるのは
初めての喝采
ひと夜限りのめぐり会い
そして 還らぬ時間の芳しさ…

やがて
涙を風に散らせた道化師は
傍らの犬に
片目をつむって見せながら
最後のステージへと歩きだす







【ラストステージ】


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