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異彩ノ雫

第214章  六ノ月 Ⅲ ③




その人が
花の命で染め上げた
淡い 淡いさくら色の絹の糸…


雅な歌人の詠んだ一首に
想いを重ねたひと色は
告げることの叶わぬままに
儚く消えた恋の形見…


永の月日を見返りながら
織られ仕立てた薄衣を
月明かりの下 纏う影は
終(つい)の涙に濡れゆく影か…







【さくら色】


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