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異彩ノ雫

第214章  六ノ月 Ⅲ ③




一日の終り
鏡にそっと問いかける

── あの人は、あなたを好きかしら…?

戸惑うように視線が揺れる


あと少し 髪が長ければ…
あと少し 目が大きく
あと少し……

鏡の向こうは静まり返り
ただ
水面に同心円が広がるように
胸の痛みを映し出す


私とワタシは
泣き笑いの目を伏せながら
いつものように ルージュを落とす







【鏡】


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