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異彩ノ雫

第30章  九ノ月 ⑤




消えゆく夕日を
水面からすくうように
金色に染まった海へと
華奢な指を伸ばす君

今日の日を
惜しむ仕草であるならば…
ざわめく胸のうち
想いを込める言葉をさがす

けれど
立ち尽くす傍らを風が過ぎ
君の髪が唇に触れる
まるで
指を立ててそっと塞ぐように…

息をのみ唇を噛めば
燃え立つ残照が胸を焦がす







【秋濤】


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