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異彩ノ雫

第286章  四ノ月 Ⅲ ②




想い出を一つずつ箱に入れる背中ごしに
優しい調べが通り抜ける

ラジオをしまうのは明日の朝…
ささやかな予定を胸に記して
バッグの中に手を入れれば
指先に冷たい感触

なくしたはずのイヤリングの片方は
今さらの後悔を呼び起こす

それでも…それだから…
ため息で閉じた小さな扉を
春のリースで飾りたい







【扉】


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