ただあなただけを見つめる
第24章 生きること
「なんで旭さんはそんなに簡単に言えるの?!
私まだ16歳なんだよ!?
仕事もしてないし貯金だってないこんな状況で産んだって赤ちゃんがかわいそうだよ…!」
「お、おい…」
泣き出す私を見て慌てて周りを気にする旭さん。
ここは病院の中。
お腹の大きな妊婦さんたちが不思議そうにこっちを見ていた。
「とりあえず帰ろう。
それからゆっくり考えよ。」
「……ん」
旭さんに手を引かれ、私たちは産婦人科を後にした。
―――――……
旭さんの車に乗り、自宅に向かう。
「どうしたらいいの…」
泣きじゃくる私。
まだ16年しか生きていないが、ここまで苦しいと思ったのは初めてだった。