ただあなただけを見つめる
第6章 半同棲
【着いた!】
メールが来て玄関に行く。
「夏帆~、ただいまっ!」
ドアを開けると暁が抱き着いて来た。
呼吸が荒いし、汗だくだ。
走って帰って来たんだろう。
「汗くさいから!
早くシャワー浴びなさい!」
「はーい」
素直に風呂場に向かう暁。
鼻歌なんか歌っちゃって…
「やれやれ…」
暁の背中を見ながらため息をついた。
ツンツンの金髪にギラギラピアスで顔も厳ついから、怖いイメージしかなかったけど、
なんて子供っぽい性格なんだろう。
「あ、夏帆!アイス冷凍庫に入れといたから食べろよ!」
脱衣所からひょっこりと身を乗り出し得意げに言う。
これは褒めてほしいって顔だ。
「ん、ありがとう。てか大事なとこが見えてますよ(笑)」
「夏帆のエッチー!」
暁はニカッと笑うと脱衣所の戸を閉めた。
「アイスアイスー♪」
私は待ち望んだアイスを食べようと冷凍庫を開けた。
「え、何これ…。」
思わず固まる。
アイス10個…たしかにそう頼んだけど…。
それは「普通のアイスを10個買ってこい」という意味で、
うん。
誰でもそう解釈するよね?
一箱15本入りとかいう、
「ファミリーパック的なアイスを10個買ってこい」なんて解釈しないよね!!?
狭い冷凍庫に見事にぎっしりとアイスの箱で埋めつくされている。
…暁、もしかしてバカ!?