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ただあなただけを見つめる

第12章 キス





「あーあ。
ついに手出しちまった。」

「最低。」

「暁に知られたら何されるかな。」

「殺されるよ。
暁は私一筋だから。」



“カタン”



…え?


店の方から音がして振り向く。



冷や汗というのだろうか。


手の平がじんわりと湿っていくのがわかる。





「……暁…」




暁がいたのだ。


いつからいたのか。



――今の…見てた?




「兄貴!夏帆!
何やってんだよ!」



ガンッと椅子を蹴り飛ばす。


私は肩をすくめた。



暁は旭さんに掴みかかる。


旭さんは胸倉を掴まれても平気な顔をしていた。


暁は旭さんを床にたたき付けると、今度は私に問いかけた。



「夏帆!どうゆうことだよ!」

「…ごめん。」


俯きながら謝る。


暁は私の頭をぐいっと自分の方へ向けると、思いっきり手を振り上げた。




―――バチンッ!



「……っ?!!」


ドサッと床に尻餅をつく。



え……今、何が起こった?


私、暁にぶたれた?



――暁が私を“ぶった”?



「痛っ!何すんのよ!」


暁をギロッと睨む。




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