ただあなただけを見つめる
第20章 消毒液
「夏帆!!!!」
光の先から暁の声がする。
涙でよく見えないが、影も見えた。
「あきら……」
「夏帆!どうしたんだよ!」
暁に抱きしめられる。
いつもの暁の匂いとは少し違った。
汗の匂い……
ずっと探してくれてたのかな。
「…ごめんなさい。」
「え?」
「私…汚れ……た……。」
打ち明けた時、ぶわっと涙があふれてくる。
安心したのもあったけど、暁に捨てられるとを想定したのだ。
「誰に……」
「えんちょ……せんせ…ック」
「うそだろ……」
暁はそう言うと、私をひょいと持ち上げた。
「暁…?」
「病院行こう。
中出しされたんだろ?」
コクンと頷くと、暁はそのまま走り出した。