Liar Game 〜1×5〜
第10章 鎖
櫻井「そっかぁ…そんなことが…」
聖輝「ぐすっ……」
櫻井「インターフォンって、エントランスの方は鳴ってなかったんだよね?」
聖輝「はい…」
櫻井「ということは同じアパートの住人の犯行だな…」
聖輝「えっ?」
櫻井「だって部外者がこの部屋の前まで行こうとするなら、必ず下のインターフォン押さないと入れないでしょ?」
聖輝「でっでも…僕…見たことあるんです…」
聖輝「アパートの住人のフリをして、ロックを解除した人の後ろにさりげなくついて行くって…」
聖輝「だから…このアパートの人以外の仕業かもしれない……」
櫻井「それはないと思うよ?」
聖輝「えっ…?」
櫻井「涼野くんは、ドアを叩いたりチャイムを鳴らしたりしてる時にドアを開けたんだよね?」
聖輝「はっはい…ドアを叩く音がちょっと止んですぐに…」
櫻井「その時には誰もいなかった…そして、その代わりにアパートの住人達が現れた。」
聖輝「はい…」
櫻井「ということは、犯人はアパートの住人に紛れ込んできみの前に現れたってことになる。」
聖輝「えっ…?!」
櫻井「そうじゃないと逃亡は間に合わないからね。」
聖輝「そんな…!!」
櫻井「動機は分からないけど、犯人はこのアパートのどこかに住んでるって考えるのが自然だと思うよ。」
聖輝「どうしよう…もし犯人が同じアパートに住んでるんだったら…また同じことが…」
櫻井「可能性はあるね。」
聖輝「いっ嫌…そんな…大学やお仕事があるのに…!!」
このまま引きこもりになる訳にはいかないのに…!!
聖輝「やっやぁ…!!」
ギュッ
櫻井「涼野くん落ち着いて。」
聖輝「さっ櫻井さん…!!」
櫻井「大丈夫、大丈夫だから…」
聖輝「櫻井さん……」
櫻井さんに抱き締められ、少し気が楽になった。