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Liar Game 〜1×5〜

第11章 糸



でもね智くん。


『優しい』って言葉は褒め言葉じゃないんだよ?


別の見方をするとね…


『単純なバカ』って言われてるのと同じ。


智くんはまさにその通りの人だから。


だからいろんな人に知らない場所で騙されてるんだよ。


〜♪♪


〜♪♪


櫻井「おっ、あの子からLINE。」


聖輝『今日は何時頃帰って来ますか?』


聖輝『早く会いたいです…』


大野「随分気に入られてるんだな。」


櫻井「おかげさまで。」


大野「……。」


櫻井「さてと、可愛い可愛いペットちゃんに連絡しないとね。」


大野「ペットって…」


櫻井「ふふっ…あっもしもし?」


櫻井「うん。今ね、智くんと仕事の話してて…1時間後には戻るから。」


櫻井「うん、うん…うん、じゃああとでね。」


ピッ


櫻井「ふふっ…」


大野「どうしたの?」


櫻井「いや、涼野くんが俺を求めてくれるのが嬉しくてね。」


大野「あぁ…」


櫻井「俺に早く会いたいんだって。」


大野「…上手いこといってるんだね。」


櫻井「まぁね〜、これもすべてどっかのバカが嫌がらせしてきた奴のおかげだよ。」


大野「嫌がらせ?」


櫻井「うん、夜中に涼野くんの家に押しかけてきたバカがいてね。」


櫻井「恐怖に怯えていた涼野くんに手を差し伸べたのが俺、あの電話の時と同じようにね。」


大野「ストーカー…」


櫻井「何が目的か知らないけどさ、そいつのおかげで涼野くんと距離を縮めることができたんだ。」


櫻井「本当はすぐにでも警察に通報するべきなんだけどさ…通報したら涼野くんと一緒にいられないでしょ?」


大野「…涼野と一緒にいたいから…警察の通報を避けたの…?」


櫻井「ふふっ、それだけじゃないよ。」


大野「えっ?」


櫻井「犯人の目星は付いてるから。」


大野「犯人…誰か知ってるの…?」


櫻井「予想だけどね。」


大野「…どうするの…?」


櫻井「犯人?とりあえず一週間何もなかったらそいつと話をする。」


大野「話…?」


櫻井「自白させて脅迫できたら最高でしょ?」


大野「……。」


櫻井「ふふふ…本当世の中上手いことできすぎて怖いよ…」


怖すぎる。


でもこの恐怖がスリル満点でまた面白い。


退屈な世の中を楽しくしてくれる。

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