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問題児とオタク少女

第10章 幸せ(?)スクールライフ

「さっちゃん。ちょっといい?」

真衣ちゃんにいきなり呼ばれて、人のいない空き教室についていった。

…どうしたんだろ?

でも答えは浮かばなくて。

逆に、私、何かしたかな?!と、ちょっと怖かった。

けど、真衣ちゃんから告げられたのは全く違うことだった。

「ごめん!とりま、ごめん!」

「…へ?」

なんで真衣ちゃんが謝ってるの?!

そんな謝るようなこと…した?!

「私…実はさ…悠太とさっちゃんとのこと、邪魔しようとしてたんだよね。はるちゃんまで使ってさ。ま、結局否定されちゃったけど。でもね。もう私諦めた!悠太のこと!だから大丈夫。ただ、謝りたかっただけなの。許してくれないって覚悟はしてるけど、やっぱり…さっちゃんには言っとこうと…ね?」

早口で言う彼女の気持ちは、鈍感な私には分からなかったけど。

でも、何かが伝わった。

「…全然…いいのに…全然…いいのにさっ!そんな謝らなくっても!真衣ちゃんは悪くないしね!ていうか、私に言ってきてくれるなんて、ほんとに真衣ちゃんはいい子だねっ!」

「さっちゃん…ごめん…ごめんね…ほんとに…」

静まり返った教室には、彼女のすすり泣く声しか聞こえなかった。


「もう大丈夫?」

「うん!ありがとね、さっちゃん。」

「ううん!全然!」

よかった。

真衣ちゃんが笑顔になって、本当に…よかった。

「あ!さっちゃん!あともう一つ!」

ん?なに?

と、聞くと真衣ちゃんはニヤニヤしながらこう言った。

「悠太にとってさっちゃんは、運命の人らしいよ」

その瞬間、私は顔がボッと熱くなるのを感じた。

それからしばらくは谷村と話すことはできなかった。



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