
大切な人へ
第22章 冬休み
ぱっと目が合った
「何?今日やたら見てないか?」
『井川くんはさ…いつから…
どうして私を好きになってくれたの?』
「っ‼ ごほっ‼」
コーヒーにむせる彼に大丈夫?
ってハンカチを渡した
「それ…言わなくちゃいけない?」
あっ照れてる 初めてそんな顔見たかも
『出来ればお願いしたい』
「覚えてるかな…2年になったすぐの試験」
『試験…ん~…あっ!ペン?』
「そう 俺あの日1本しかなかったシャーペンが
壊れてまじで焦ってて」
『うん 笑
横でごそごそしてたからすぐわかった』
「その時お前と目が合って わざとペン落としてさ…
落ちたよって自分の貸してくれて」
助かったし優しい子なんだなって思ったって…
言ってる井川くんが凄く優しい顔してるよ?
「その後もよかったら使ってって言われて
まぁ見た目もあるけど 天使かよって思った」
天使?笑
「1年の時から知ってたしすれ違ったことくらい
あったけどさ 見た目だけだろとか思ってたから
ギャップもあったな」
……そっか
「でもずっと近くで見てたけどさ…
お前がモテる理由わかったと思う」
『え?』
日直が忘れてる仕事を黙ってフォローしたり
次の先生に悪いからって黒板消しなんか
しょっちゅうしてるし?
体調悪いやつすぐ見つけて声かけてるし
勉強だって聞かれたら誰にでも教えてるし
愚痴とか悪口言わないし よく笑うし
『もういいよ…ありがとう 』
何か胸がいっぱいだよ…泣きそうだから
「こんなとこで泣くなよ?
俺が泣かしたって100%思われるから」
『私は井川くんの方が優しい人だと思うよ』
