
大切な人へ
第23章 守りたい
カラーンカラーン
恒例の試験が終わった。
ちゃんと出来た…と思う。大丈夫。
少しほっとしてると
横の井川くんが大きなため息…何?
『どうしたの?数学できた?』
また子供の顔になってる彼に
力が抜けてありがたいかも…
「試験はそこそこ出来た」
『じゃ何のため息?』
「実は選択の社会の課題終わってなくて
終わるまで部活くるなって言われたし…」
シュンとする彼がちょっと可愛い 笑
『今持ってる?手伝うから泣かないの』
「泣いてないし!でも頼む」
今日はやけに素直だね
そのまま教室に残って課題を進める
暗記ものがほとんどで私が答えて彼が書いてく
絶対に復習してねって約束してもらった
こんなの本当はよくないからね!?
かなりのスピードで仕上げてまだ
部活に行ける時間に終わった
「サンキュ!今から行くわ!」
そう言って走り出してしまう彼に
『待って‼‼ 待って…一緒におりよ?』
教室に1人は嫌…
震える声に彼が立ち止まってくれた
「…待つから」
少し悲しい顔で笑う
急いで片付けて彼のところに駆け寄る
「よし!行こ!」
彼はまた優しく笑って横にいてくれた
グラウンドと反対側の駐輪場まで
一緒に来てくれた井川くん
ごめんね 急いで行きたいのに…
「今日も助かった!気をつけて帰れよ!」
笑顔で手を振って
彼はグラウンドの方に走って行った
