
大切な人へ
第25章 天変地異
離れたくないって…
いやだって…
言えなかった
きっと先生もすごく悩んで
出した答えだと思うから…
愛してた…
過去にしちゃうんだね
いつも彼が座ってた場所に座る
初めてきたのは花火の夜だったね
先生が来るようになって
殺風景のこの部屋に
少しだけ増えたものがある
少しの食器と貯金箱
先生は私が食事を作ったら必ずここに
500円を入れて帰ってた
受け取らない私にこれを買ってきて
いつの間にか置かれていた貯金箱
簡単に開くけど開けたことはない貯金箱
こんなに重かったっけ?
こんなにたくさん食べてくれたんだね
彼の嫌いなほうれん草
1度だけ出したことあったね
嫌そうだったけど食べてくれた
出したものを残したことなんてなかったね
「美味しい!いつもありがとう」
彼の笑顔と声が浮かぶ…
