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大切な人へ

第26章 気付いてた


「去年風邪ひいてうちで寝てた時
寝言?で言ってた。その名前」

うそ...私が言ったの?

「寝てるし苦しいくせに笑ってたよお前
だから彼氏できたのかなって思ってた」



「なぁ...アキトさんって」

『やめて!!』

「鈴木晄人?」


...見ないで

井川くんには見えちゃうんでしょ?




「やっぱそうか...」

ふぅって息が聞こえた


『どうして全部わかるの...

ふられた...でも元々付き合ってなかった』


お願い誰にも言わないでって
前と同じことをお願いして頭を下げた

ポコッ

プリントを丸めて叩かれた 痛くない

「俺ってまだ信用ない?お前の事は誰にも言わない」

真剣な顔をした彼に首をふる

『そうだね...ごめん。ありがとう』



「で?」

『...で?』

何を聞かれたのかわからずポカンとしてしまった

「落ち込んでるだけ?違うだろ...」

『...え? 違うの?』

「は?俺に聞くなよ」

他に何かあった?よくわからない...


「本当にわかんないのか?」  『うん...』

「最近上の空だなとかモヤモヤしてるって感じる?」

『うん』

「今頭に浮かぶこと全部言え
隠すことなんかもうないだろ?」


浮かんでくるのは先生と最後に話したこと...

『お別れを言いに来たって言われたとき...
今までありがとうって。私がしたことにお礼言ってた

守ってくれてありがとうって...
でももう会わない。もう忘れてって...元気でって』

彼の言ったことを口に出すと
涙が溢れてきた...



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