
大切な人へ
第26章 気付いてた
「俺はうじうじ悩むタイプじゃないからな。
その時したいようにって感じで
無理して諦めようとか次とか考えないけど」
それって...
『今でも...好きでいてくれてるの?』
「...うん。好きだ」
自分で聞いたのに...真っ直ぐ見つめられると
一気に熱くなって何も言えない
「何今更真っ赤になってんの」
『ごめん...でもそれ言われたのは初めてだし』
「そうだっけ...じゃぁ俺にしとけば?泣かせないし」
涼しい顔で言ってるけど冗談ではないよね
冗談っぽい本気...かな
『ありがとう。でもまだ切り替えられないよ
今日失恋したみたいなもんだから』
「あーぁ またふられた」
『もう暗いし!もう帰ろうか!
勉強出来なかったね...ごめんね?』
「俺でよければ何時まででも付き合うよ?
どうせ帰っても1人だろ?泣くんじゃないの?」
『どこまで見えるのよその目って 笑』
「抱き枕にでもなってやろうか?」
『それはいらない 笑
今日はもう泣かないよ!ありがとう』
「明日は?」『部活ないの?』「模試前で午前だけ」
『じゃぁ今日の分の勉強しよっか』
「NGに変えてもいい?」『泣くかも』「OKっす...」
こんなやりとりが楽しくて嬉しい...
ありがとう。井川くん
帰りの廊下で私のごめんねって声が響く
『井川くんは苦しくない?私といて...』
平気な顔でいや?って言ってくれる
「俺はお前が泣いてなきゃいい。笑ってたらいい」
優しい顔でそんなことばっかり言わないでよ...
井川くんってこんな人だっけ
