
大切な人へ
第27章 あなたと離れて
「え?藍野さん!待って待って...
ごめん...余計なこと言った?」
焦る上田くんの横で涙がポロポロ止まらなかった
ハンカチを渡してくれてごめんって受け取った
「どうした?」
井川くんの声がする...帰ってきちゃったんだ
「何かあったの?」
「何も。話してただけ。でも泣かせたのは多分俺?」
えへって笑う上田くんに井川くんがちょっと怒ってる
そんな言い方するからだよ!
『ごめん!私が勝手に泣いただけだから』
「上田くん殴ったら私が井川くん殴るから!」
「別に殴ったりはしないけど」
「井川は藍野さんが泣いてるのが心配なだけだよね?」
「...おい。お前ら」
そのやり取りが可笑しくて笑っちゃった
その後2人はデートに行っちゃった
私たちは話の流れでまた井川くんの家に...
「なぁ...上田に何言われたの?」
...言えるわけないじゃない
「そんな顔になるようなこと?」
『え!?私どんな顔してる?』 「赤い...」
もう...なんですぐ赤くなるのよ私!...
「なぁ...」
___え!?
その声は俯く私のすぐそばで聞こえて
顔をあげると近すぎるところにいて
床に手をついて体を寄せてきてる...
『...何?』
息がぶつかりそうで下がろうとすると
待ってって頭を右手で後ろから支えられた
「真っ赤...」
彼の私に向けられてる視線が熱い
どうしよう...心臓がうるさい!
「キスしていい?」
え? えっ⁉
待って!本気なの?近い近い!
どんどん近づいてくる彼に
ほぼパニックでぎゅっと目をつぶった...
あれ?
