
大切な人へ
第27章 あなたと離れて
ゴールが入ってみんなが休憩し始める
紗羅がおーいって上田くんに手をふって
上田くんも気付いて手をふりかえしてる
......‼
先生と目が合った。
さっきまでの笑顔が一瞬で消えてみんなに声をかけて
行ってしまう...そこまであからさまに避けるんだ...
ショックでぼーっとしてしまった
いつの間にか顧問の先生が来ていてアップが始まった
ついでに野球部にも行こうかってなってそちらへ...
背の高い井川くんはすぐわかる
彼はキャッチボールをしていた
また紗羅がおーいって言うと井川くんが...
と言うかみんながこっち向いた じゃまじゃないかな
でも井川くんが手をふってるから私も少しふった
なに? 何かジェスチャーしてる...
そこのボール...投げて? やだ‼無理‼
紗羅もそれを拾ってはいって私に渡す
あんなに遠くに投げられない...
2人とも知ってるくせに‼
でも待ってるし...
しぶしぶ振りかぶって投げた えい‼‼
ポトン...コロコロコロ...
井川くんまでの半分もいかなかった...
野球部の人みんな笑ってるし 恥ずかしい...
井川くんが軽く走ってそれを拾った
帽子を軽くあげてサンキューって意地悪く笑う
対照的な2人...
私を見ると笑顔が消える彼と笑顔になる彼
先生はたまに職員室や廊下で見かけたけど
必ず目をそらされて悲しい顔をされるんだ...
だからだんだん私も彼を見ないようになった
私がいなければ笑えるならその方がいい...
そうすれば私も傷つかなくていいから
