
大切な人へ
第27章 あなたと離れて
「彼女って思っていいの?」
廊下を並んで歩いてる
『…うん。私でいいですか?』
ごめんね…今ほんの少しだけ躊躇した
「当たり前だろ。…大事にするから」
彼は優しく抱きしめてくれた…
『もうずっとしてもらってるよ…』
私も彼を抱きしめた
______________
「おはよ美優」
優しい顔で彼に呼ばれて真っ赤になる私…
「え?今…美優って呼んだ?」
紗羅が目をまん丸にして井川くんに詰め寄る
…‼
「呼んだ。付き合うことになったから」
私は立たされて…
首から頭に腕をまわされ胸に引き寄せられた
「そうなんだ!おめでとう美優!」
上田くんはもよかったねって2人に言ってくれてる
私は多分真っ赤だ ありがとうって小さく言った
恥ずかしいから離してほしいけど…
「え?2人付き合うんだ?」
「っていうかまだ付き合ってなかったの?」
みたいな声が聞こえてるし…
結局離してくれたのは担任が来る頃だった…
恥ずかしいけど嬉しくてこそばゆい感じ
彼の愛情表現がダイレクトで時々困ります
2人の勉強会では終わるまでキス禁止
そのルールができるのは早かった
「はい!今日は終わり!」
パタンっとノートを閉じるとすぐに唇が重なる
触れるキスが優しい…
頬に手を寄せて…
頭を撫でて…
軽く引き寄せられてまた唇が触れる
こわれ物を扱うように彼は私に触れるんだ
その後の彼の表情が大好き
幸せそうな顔をしてくれるから…
