
大切な人へ
第28章 波乱の体育祭
そっと優しいキスをして胸の中に私を収める
「はぁ...癒される」
彼の低い声が体に響いて心地いい
「柔らかいし気持ちいいし」
『そんな癒し効果あるの?私って 笑』
「あるよ...好きだから」
井川くんの声がなんだか切ない...
でもすごく気持ちがこもってて嬉しい
『私も...好きだよ』
彼を愛おしく思う
私の言葉に彼の腕の力がぎゅっと強くなった
「...やっと言ってくれた」
消えそうな小さな声...
「初めて言った。...好きって」
痛いくらい抱きしめられて気付いた
私ずっと言ってなかった
井川くんに好きだよって言ったことなかったんだ
『井川くん...』
謝りたくて身をよじるけど離してくれない
『好きだよ...井川くん』
優しく声をかける
ごめんね...何度も言ってくれたのに
もらってばっかりで返してなかったね
彼の背中に手をのばして抱きしめた
ありがとうって気持ちを腕に込めて
「美優...」
ふっと彼の腕の力が抜けて見上げると その瞬間
熱く唇を塞がれた
彼の熱い舌を初めて口の中で感じた...
私の頭を支える手も
顔にかかる息も
また抱きしめる体も
全てが熱かった...
