
大切な人へ
第30章 夏への日常
「やることにしたんだ?
ステージで歌うの恥ずかしいとか言うかと思った」
教室で井川くんがまた意地悪な顔をする
『ちょっとはそれもあるよ?
でもステージは結構慣れてるから多分大丈夫』
私は昔から音楽をしていたからコンテストや
コンサートでもよく舞台に立ってきた
それに今回は文化祭だし大会とかじゃないしね
『へー。なんか意外
そういうのは緊張しないんだ?』
「どういうので緊張してたって言いたいの? 笑」
それここで言ってもいいのってまたあの顔をするから
言わないでいいってとめた
こんなに近くにいても最近やっぱりちょっと
寂しいのって...
「何?そんな顔して誘ってんの?」
『え⁉そんな顔してないよ‼』
くっくって笑ってる彼にばれてしまった...
だって最近ここでしか会えないからキスもしてないし
「...今日さ。野球の練習終わったらそっち行っていい?
ちょっと遅くなるけど。飯作ってよ」
『いいの⁉うん!何が食べたい?』
一気にテンションが上がった私を優しい顔で笑って
ハンバーグかなって言ってくれた
久しぶりの井川くんとの時間にルンルンで買い物をして
準備して待っていた
