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大切な人へ

第32章 ピンチ


「お前顔色悪い。風邪?」
『そぉ?そんなことないって』

大きな手がおでこや首を触る
そうすると熱くなっちゃいそうなんですけど

「うん。熱はなさそう じゃ何?」
『だから何もないってば』

恐い顔して見ないでほしいな



実は今月金融危機に落ちてます...
臨時の集金があったのとお米も無くなったのが痛かった

でもあと5日で給料日なの!

食費がきつきつで最近ろくなもの食べてなくて
ただお腹が空いてるだけなんて...言いたくない!

でもお弁当だけはみんなと食べるから量を減らして
それなりの物を持って来てる

後1時間...そしたらお昼だ


移動教室で井川くんと1つ上の階に行って終わった...

席を立つと立ちくらみがした
でももうお昼だから...


「おい!」 バサバサッ...

階段で2人の教科書やノートが落ちる音が響いた




『...はぁ...お腹空いた...』


「ほらね?」
「お前...何やってんだよ」

ここは...保健室だ
クスクス笑ってるのは養護の先生で
横で怒ってるのが...井川くん

「これ...彼が買ってきてくれたのよ?飲んで」

蓋が開けられたスポーツドリンクを渡された
促されるまま少し口に入れる...

私は階段当たりで気を失ってしまったらしい
それで井川くんが運んできてくれたそうだ

お礼を言ったらまた怒鳴られた...

まだクラクラしてるのに優しくしてほしいよ


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