
大切な人へ
第32章 ピンチ
「ダイエット?太れって言っただろうが」
『そうじゃないんだけど...』
「じゃなんでそんなに食ってないんだよ!」
シュンとなる私を先生がかばってくれる
でもちらっと見た彼は心配そうな顔で...
『お金が無かったの...今月の食費が足りなかった』
かなり予想外の答えだったようで
彼の大きな声が部屋に響いた...
足りなくなった理由を言っても腑に落ちない様子で
「それぐらい貸すから言えよ
つーか親に言わなかったのかよ」
『ずっと自分でやってきたんだもん
2年以上やってきたのにこんなこと言えないよ』
先生は私が生活費を自分で稼いでいることを知ってた
バイトの特別許可ってうちではあまり出ないから
先生はほぼみんな知っていたらしい...
ってことは先生もやっぱり知ってたんだ...
『でもあと5日で給料日なの!だから...』
「ふざけんな!5日そんな状態が続くって?
借りたくなきゃ俺の家で食え!」
『やだ!そんな迷惑かけたくない!』
「倒れられる方が迷惑だ!今日も昼食べそびれた」
本当だ...もうお昼休み終わっちゃう
『ごめん...もう時間が...』
「そうじゃなくて...心配だから食べてくれって
言ってんの。自分の心配もしてくれよ」
ぽんと頭に手を置かれた
彼は悲しそうな顔で私を見下ろしてた...
