テキストサイズ

大切な人へ

第32章 ピンチ


お父さんは初めましてで挨拶をしなおした
お母さんから私の話しは聞いていたそうで
物静かなタイプっぽい優しく笑う人だった

「家内から聞いてたけどしっかりした子だね
うちの慎也でいいんですか?」

『いえ...私にはもったいない人です
いつもよくして頂いてます』

5人で囲む食卓で井川くんだけ何も言わない
でもみんな私を歓迎してくれて嬉しかった
すごく懐かしかった...


洗い物が終わったら井川くんに部屋に呼ばれた

『ごめん。怒ってる?』
「怒ってはいる」

といいますと?

「なんか逆だと思われるだろあれじゃ...
俺が付き合ってもらってるみたいだろ」

『どっちかがとかじゃないでしょ?
好きだから付き合ってること認めてほしかっただけ
それに井川くん言ってないかなって思って...家の人に』


「うん...それは悪かった。タイミングなくて」

『もう私のこと知ってたしお母さんにだけでも
きちんと言った方が安心すると思ったの 
みんなが帰ってくるとは思わなかったけど...』


ふぅって小さくため息をついて
頭を撫でてくれた

「まぁ結果嬉しかったからいいけど。ありがと」

彼は優しく笑ってくれた
井川くんはお父さん似なんだね その笑顔



ストーリーメニュー

TOPTOPへ