
大切な人へ
第33章 彼の夏
井川くんは朝練でまだ教室にいない時
上田くんと話してた
「週末の野球の試合行くの?日野くんとことだよね」
『行ってくるよ!井川くんの応援にね?』
「日野くんとはあんまり話さない方が
いいかもね 井川心配すると思う 笑」
『そぉ?2人知り合いっぽいんだ』
だったら余計ダメって言われた でも友達だから
井川くんと付き合うことになったのも
会えたら言おうと思ってるの
前日も翔ちゃんからメールがあったの
応援くるの?って
みんなを応援しに行くから頑張ってねって送った
2人は何年も野球を続けてきたんだもん
私1人の応援で何か変わるなんてないと思う
ただ見届けたいって思ってる
夢を追って頑張ってきた人たちを…
真剣に何かに向き合ってる人ってかっこいい
私も頑張ろうって思える
試合当日
1人で観客席で見守った
日焼けするからって彼はキャップを貸してくれた
それしてたら見つけられるかも知れないって…
私は見てるよ
あなたが私を見つけられなくても
私はあなたが見えてるから…頑張って
彼はその日キレキレだった
その試合は我が校の勝ちだった
お疲れさま翔ちゃん
頑張ったね
昔言ってたよね
甲子園に行くのが夢だって
