
大切な人へ
第33章 彼の夏
『昔…私がコンテストとかの後
失敗したって泣いたりしてたらよくこうしてくれた
いっぱい練習したんでしょ?頑張ったねって
嬉しかった…』
『翔ちゃん…頑張ったね』
ずっとずっとこの為に頑張ってきたんだもんね
だから…泣いてもいいんだよ
_______
『ごめんね!疲れてるのに待たせちゃって!』
井川くんはベンチから見上げて私を見つめてた
だから隣に座った
『翔ちゃんは…日野くんは 昔仲良かったの
その頃から甲子園目指してた
だからその友達を元気付けたかったんだ…』
井川くんはそっかってこっちを向いた
でもその後なぜか少し笑った
「…元気出たみたいだな」
『え?』
彼の視線の先に翔ちゃんが走ってきてた
「ごめんね!井川くんともしばらく会わないかもって
思ったから来ちゃった」
少し赤い目元を帽子で隠して笑う翔ちゃん
「井川くん今日も凄かった!次も勝ってね!」
爽やかに手を出して井川くんも立ち上がって
それを握った ありがとうって
「あと…美優ちゃんをよろしくね!
俺が出来なかった分も幸せにしてあげてね」
笑顔の翔ちゃんとは対照的にポカンとして
あぁって言ってた…
手を振って行ってしまう翔ちゃん…
……。
