
大切な人へ
第34章 ごめんね
最近は井川くんの方が好きになってたと思うの
先生が思い出になっていってる気もしてたの
でもよくわからない...
ただ考えないようにしてただけなのかも
井川くんで塗りつぶしてただけで
その下にはずっと消えない先生がいたような感じ...
いつまで2人が好きなんて言ってるの
最低だよ今の私
でも...
井川くんから離れたいなんて思えないよ...
先生が好きでも 井川くんが好きなの...ごめんね
その日の花火は井川くんの部屋から見た
学校に近い彼の家の窓からは
すごく綺麗に見えて...
彼は私を後ろから抱きしめたままそれを見ていた
今は彼のことだけ考えさせて
お願いだから頭の中に出てこないで...
こんなに優しい彼を私も幸せにしたいの
あの頃あなたに思っていたように
大切にしたいって...思うようになったの
花火は儚く消えるなんて言うけど
今までそんな風に感じたことなかった
あんなに綺麗に大空に咲いたんだから
綺麗だねって言ってもらえたんだから
儚くなんてないって思ってた
でもその意味ってそうじゃなくて...
綺麗だったのを覚えてるから
消えたときに寂しい
ってことなんだね...
楽しかったから...嬉しかったから...愛してたから...
いなくなると寂しいんだね
それが無ければこんな気持ちには
ならなかったんだろうけど
そう思えないくらい私は...
幸せだったの
晄人さんとの時間が
無ければ良かったなんて思いません...
