
大切な人へ
第37章 強くなりたい
『ありがと…助けてくれて』
ぎゅーっと彼に抱きついた…
井川くんがいなきゃダメだった…
『__悔しい‼
こんなんじゃ井川くんを安心させられない』
ごめんって泣いてる私をなだめて
家までゆっくり一緒に歩いてくれた…
待ってるからって言ってくれて
シャワーを浴びた
「ちょっとは落ち着いた?」
『うん…ありがと』
濡れた私の髪を拭いてくれる優しい手…
「なんであの時止めた?
俺が殴った方が絶対効いたのに…」
だって…
『大事な手だから… 井川くんの手は…
これからもボールを投げる大事な手だから』
叩いた方の手はまだ痛かった…
「美優は強いな」
タオルの向こうの彼はクスって笑った
「でも力では男に敵わないから俺が守る…
美優は他の事で俺を守ってよ…今回みたく」
俺も頼るから美優も頼ってって言ってくれた
こんなこと…前にも言われた_______
でも私の頭は今…目の前の彼しかいなかった
