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大切な人へ

第39章 気付けなかった


彼はいつからこんな顔をしてた?

また見えてなかったの?私...

こんなに大事な人のことなのに




私の誕生日は今年は平日だったから
その週末にお祝いしてくれるって彼が言ってくれた

その日の朝は笑顔でおめでとうって言ってくれたの

すぐ手を繋いでくれて一緒に歩いてくれたね

可愛いサプライズもプレゼントも嬉しい ありがとう


でも

どうしてたまに悲しそうな顔をするの?


文化祭の後 通常生活になってやっと気付いた彼の異変


違う...もっと前からおかしかったの

言い訳をするなら忙しかった...


バイトの一件でまたすごく彼への想いを感じて
ずっと優しかった彼が嬉しくて

色んなことに追われる日々の中で
少ししか彼を見てなかった 安心してたの...

それでも少しだけ思い出せる彼のうかない顔
ぼーっとした顔で私を見つめる表情



いつから...?

私なにかした?




『井川くん...』

そう呼んだ彼の目の奥が泣いているようで...

多分私も同じ目をしてると思う


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