
大切な人へ
第39章 気付けなかった
私の大きな声が進路指導室に響く
私の前にいる担任は黙ったまま
視線をさげて座っている
『今の成績なら免除を受けられる確率はかなり高いって
ずっと言ってたじゃないですか 嘘だったんですか?』
「...ごめんな」
さっきからそればっかり
『...どうしてっ』
私は怒りに震えていた
「今のやる気を削いでしまうと思って黙ってた
藍野の今の成績なら免除は難しくても合格はできる」
だから...
それじゃ意味がないの
『免除が受けられなきゃ入学できないって
言いましたよね?それじゃ合格しても行けないって...』
教材は揃えられても
入学金なんて...ないんだから
「...行けるんだ 藍野は」
何言ってるんだろ...
意味が解らない
「入学金は藍野のお母さんが用意してくれてる」
何て
言ったの?
...お母さんが?
私は母に進学はしないで就職するって伝えていた
それを伝えたのは確か...2年の終わり頃
免除が受けられなかったら就職しようと思っていたから
免除に受かったらその時に報告しようと思っていたから
母には言わないでって学校にはずっと言っていたのに...
どうしてそんな勝手な事するの
『先生が言ったんですか?』
彼は少し黙って
そして教えてくれた
彼らがずっと
私に隠していたことを___
