
大切な人へ
第40章 母の愛
お母さんのピアノが聞きたいってお願いしたら
すぐにそこに座ってくれた
鍵盤の上にゆっくりと指を下ろすこの瞬間も好き
凛とした母の表情を見るとこちらも気が引き締まる
彼女が弾き始めたのはわたしが昔よく弾いていた曲
でもその簡単な原曲を
進むに連れて 豪快にアレンジしていき弾きあげた...
さすがだ
鳥肌がたった
私が拍手を送ると
彼女はいつもの母に戻った
こんな人に言ったら怒られるかな...
私は悩んだけど伝えてみた
やっぱり音楽が好きだと。だからこれからもやりたい
でも私の今の夢は教師や講師になることだから
趣味として続けていきたいと...
彼女はそれを...すごく喜んでくれた
どんな形でも続けてくれるのは嬉しいって
言ってしまえばこんな事だったんだって思えるんだね
私は何を怯えていたんだろう...
怒ると思ったって言ったら母はどうして?って
あっさり言ってしまうんだもん こっちのセリフ!
やるなら徹底的にやりなさい!という母の
口癖を話すと少し納得していたようで
「あれはね?目標が出来たならそうしなさいって意味よ
美優は音楽ばっかりしてたから...
そっちの道を目指してるんだって思ってたの。
でも違ったのね ただ音楽が好きだったのよね?」
中学に入った私を見てそう思ったらしい
その頃は母とこんなに話すことは
もう無くなっていたから...
私も母の気持ちに気づかなかったんだ
