
大切な人へ
第41章 磁石
「藍野さんは?趣味はなんですか?」
『音楽です。演奏も歌も好きです』
文化祭のステージもクラスで弾いた演奏も
聞いてくれていたんだって
好きなのは知ってたけどびっくりしたって
でもすごく上手だったって
あんなに話して一緒にいたのに
多分まだまだお互いに知らないことって
あるんだよね?きっと...たくさん
知らない気持ちもあるんだよね...?お互いに
『お母さんに先生が連絡してくれてたこと聞きました
それで冬休みに実家に帰りました。初めて...』
「そっか...喜んでくれたでしょ?」
母の分と私の分のお礼を言うと
ちゃんと話せてよかったねって笑ってくれた
『...先生はずっと_____』
言いかけた言葉は彼から伸ばされた指先に止められた
「自分を責める話しは聞きたくない ごめんもいらない
だから俺のことでさ...
もう悲しい顔しないでほしい...泣かないで
美優もそうでしょ?俺のそんな顔見たくないでしょ?」
少し悲しい表情をした彼を見て
黙って頷いた...
先生今...美優って呼んだ
