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大切な人へ

第41章 磁石


「俺は美優と過ごせて幸せだった」

いきなりの言葉に涙が溢れた


『私も...すごく幸せでした』

彼は小さくありがとうって言った


彼は自分の足に肘をついて下を向いた




「でも幸せっていうのはね?

一緒に感じて 一緒に交換しなくちゃいけないんだ」


私は黙って彼の話を聞いた


「どちらかの不幸の上には成り立たない
成り立っちゃいけないんだよ

だって相手が不幸なら悲しいでしょ?」


「...俺たちはそれが多すぎたんだ
何かを与えすぎたり犠牲にしたり考え過ぎたり...

相手の為にしたことでも
それを知った相手はまた悲しんだり傷ついたりする

それでまた自分もそれを知って悲しむんだ」

...... 。


「それを忘れてる時は幸せでも
また同じことを繰り返してしまうんだよ...俺たちは

美優はそう感じたことなかった?」



感じるよりも...私たちはずっとそうだった



「抱きしめたら...
その時の美優を喜ばせたり幸せにも出来るかもしれない

でもまた必ず悲しいと感じさせる日が来るんだ

美優にはいつも...笑っていてほしいのに」


彼はそう言って

多分泣いていた...


私もそうだよ

あなたには笑っていてほしい



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