
大切な人へ
第41章 磁石
「井川は俺を見てまだ引きずってるってすぐわかった
美優と同じ顔してるって...
好きならまだ美優も好きなんだから
戻ってやれとも言われたよ…
でも別れるんならちゃんと振れって
美優を苦しめるなって怒られた
あいつは美優を幸せにする方法を知ってる
そして一緒に幸せになれる奴だよ
ちゃんと守り方もわかってる」
「だから...井川を愛してあげて?」
私はただただ泣いていた
ずるいよ先生は...
自分だけ謝って
自分だけ好きって言って
それなのに井川くんを...
私だって...
『私だって晄人さんがずっと好きだった
井川くんのことは確かに好きになった...
でもどうしたって晄人さんを忘れることなんて
できなかったの
この気持ちをどうしたら過去に出来るか分からな_』
____‼
一気に話した私の言葉が終わりかけた時
ぐいっと腕を引かれて抱きしめられた
久しぶりの彼の匂いと体温に
私も彼をぎゅっと抱きしめた
彼の苦しそうな...泣いているような息遣いが
私には聞こえていた
私はこの込み上げるいけない感情を
どうすることも出来なかった
