
大切な人へ
第41章 磁石
彼の胸の中で頭によぎった
もう一人の大切な人が
泣いてる...
その胸の苦しさに彼を抱く手の力が抜けてく
少し遅れて彼も私を解放した
「美優は...井川と別れたい?」
そんなはずない
「...これからどうしたい?」
何も言えなくて...彼は少し頭を撫でてくれた
「でも今は受験が一番大切だよ...
このことはまたいつだって考えればいい
いつか、考えなくても答えがでるかもしれないんだから
今は悩んだりしないで集中してほしい」
「教師に...なりたいんでしょ?夢が出来てよかったね
応援してるから頑張って
1番を取る夢叶えたんだから大丈夫
美優ならその夢も叶えられるよ」
彼はそう言って
私を送り出した...
結局何も答えが出せないままの私を
責めることも求めることも無く
彼は...自分が苦しくても
私の出す答えを許す気がする
彼はそういう人だと思う...
だって私ならそうすると思うから...
どうすればあなたを幸せに出来るだろうって
考えるから...
