
大切な人へ
第56章 公認彼女
ー井川sideー
いつも通り帰っていると
意外な奴から声をかけられた
正直美優の次に会いたくない奴だ
でも美優が俺の事でこいつに怒ったって聞いて
前に1度、同じように怒った時のことを思い出した
その時もお前は俺をかばったんだ...
俺の手はこれからもボールを投げる大事な手
怒らせて手をあげさせようとするなんて許せなかった
お前は何も変わってないのかもしれない...
別れたいきさつも話さずに
まだ俺を大事だって言ってるって...
謝りたいって何をだよ
お前を無視して勝手に離れたのに__
美優は多分自分では気付いてなかったんだ
大学に入ってだんだんと
昔の友達だった頃のお前に戻っていってる事
好きだとか会いたいだとかって言ってくれるのも
おそらく全部、友達としてなんだ
お前がそれに気付いたらどうなるかは想像がついた
多分自分を責めて1人で苦しむだろう
それなのに自分からは言えなかったんだ
好きなのに別れようなんて言えなかった
晄人さんはそれでも言ってくれたのにな...
だから俺は...距離を置いていった
逃げたんだよ俺は...お前から
俺が一番最低だ
