大切な人へ
第6章 夏休み
今日は紗羅とランチだ!
久しぶりに会って話しをすると
やっと夏休みの実感が湧いてきた
「終業式の日ごめんね?先に帰って」
『うぅん!私もあの後帰ったから』
明るく返すと紗羅の表情が急に変わった
「…大丈夫?」
『…え?』
余りに空気が変わっていて戸惑う私…
「美優はあんな時はいつもつらそうだから…
でもなんて言っていいか分からなかったの
ごめんね」
『紗羅…私も何も言えてなかったから…ごめん』
ゆっくりと首をふってくれる
そうだよね…告白された事も言わなかったのに
聞けなかったよね
ガバッと紗羅の手を握りしめて言った
『ありがとう!心配かけてごめん!』
彼女は少し驚いてからクスッと笑った
「なんかスッキリした感じ?」
『うん…多分もう大丈夫!』
「なら良かった。」
ニコニコして続ける
「あの日、井川君に会えた?」
『えっ…うん』
ちょっと忘れてたけど 笑
「多分美優のこと心配で残ったんだよ」
『え……そうなの?』
「上田くんもそうだと思うよって言ってた」
…… 。
やっぱりそうだったんだ
私がクスクス笑い出すと紗羅は不思議そうで
『不器用で口も悪いけど…
優しいよね 井川くんって』
そう言うと紗羅もクスクス笑って頷いた