
大切な人へ
第63章 元恋人
夏休みに入ってすることはほぼ塾の仕事だけ
だから晄人さんと過ごす時間がすごく増えてる
誕生日のお祝いをしてくれた音楽バーに
2人で来ることもあるんだけど...
『...こんばんは。お久しぶりですね』
そっか。この人もここの店長さんと友達なのね
ちょっと笑う顔が引きつってしまうんだよね
祐司さんが悪いわけじゃないんだけど
「来てたんだな。仲良くやってる?」
かなり普通な祐司さんにほっとした
晄人さんも普通に話してるし...忘れよう
「美優ちゃん。リクエストいい?」
『はい!喜んで♪』
たまにステージで歌わせてもらってて
常連さんからもリクエストをされるようになった
ここにはピアノもあるしお酒が飲めない私にとって
音楽がここに来たい一番の理由なんです
店長さんは渋めの優しい人でギターが上手
でも今日はカラオケのサウンドで歌いました
「へぇー。歌うまいんだな」
テーブルに帰ると祐司さんが褒めてくれた
でも私と祐司さんが話してると横からの視線が
またちょっと妬いてる感じ...
晄人さんと私の様子を見てニヤッと笑った__
「まだ知らないんだ?」
「...何を知らないって言ってんだよ?」
待って待って!
焦る私に変に誤解されるよりいいだろって
晄人さんに耳打ちをし始めちゃった...
