
大切な人へ
第63章 元恋人
「晄人のどこが好き?」
堂々とそんな事を聞く彼女にポツポツと答える
空気を壊さないように笑顔をつくった
「綾、もう帰るんだろ?」
少し低い晄人さんの声
「じゃぁ2人に見送ってもらう!」
晄人さんの態度にちょっとムッとした感じで
腕を引かれて立たされてドアの方へ
晄人さんも後ろからついてきてた
「 ___________ 」
「また一緒に飲もうねー」
にこにこして帰って行った
ごめんねって晄人さんに言われたけど
うんって言ってすぐ店に戻った
「不釣り合いだと思わない?
晄人がこんな趣味だと思わなかった」
耳もとで聞こえたその声は晄人さんより低かった
晄人さんがお手洗いに行って祐司さんが横にきた
「あいつプライド高いから悔しかったんだろ
晄人がずっと美優ちゃんの方気にしてたからな」
...やっぱり優しい
大学時代に付き合ってたけど
彼女が晄人さんを振ったらしい
でも悔しいってことは今も好きなの?
不釣り合い...
一番気にしてることだったからショックだった
お店を出ても晄人さんは私の事気にしてくれてた
馴れ馴れしいのは昔から誰にでもなんだって
でも嫌だったよね ごめんねって...
『友達が言ってたの本当だった...
晄人さんの彼女は綺麗だって言ってたもんね』
ポツンと言ってしまった
昔の事言われてもどうしようもないのに...
『再会したら...好きだった時の事とか
思い出したりしない?』
「しないよ...」
繋いだ手に少し力が入った
「美優は思い出すの?
井川が好きだった時の事」
___え?
見上げた彼はなんとも言えない顔で
冷たい目をしてた...
彼が井川くんとの事を言ったのは初めてだった
