
大切な人へ
第63章 元恋人
『思い出しませんよ...』
怒ってるような悲しんでるような表情
私たちはそこから無言だった
私の部屋に入った瞬間
彼と壁に挟まれた
「俺が美優から離れたんだから
嫉妬するなんておかしいってわかってる...」
耳もとで囁いて首筋に唇がつたう
彼の少しかすれた声が悲しそうに聞こえた
「でもね...ずっと考えてた
美優があいつにどんな風に抱かれてるんだろうって」
__っ!
ちゅって強く吸われて首元がピリッと痛んだ
ぶつかった視線の先の瞳が切なくゆがんでる_
ずっと抱えてた彼の心が見えるみたいだった
ぎゅっと体と頭を抱かれて
少しお酒の匂いがする熱い舌が
私の舌を追い回して絡まる
はぁ...んっ __っふぁ...んっ....
長くて熱くて
息が苦しくなるくらいのキスに
クラクラして彼にしがみついてた
「...あいつにもこんな風にされた?
そんなねだる様な顔したの?」
息が切れてぽーっとしてる私に
浴びせられた冷たい言葉...
『ごめん...なさい...』
私は他に何も言えなかった...
彼の気持ちが計り知れなかった
苦しそうなその声で胸がつまった
