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大切な人へ

第9章 伝えたい



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『先生の気持ち...教えて...』

ぶつかる視線を遮るように目を閉じた



俺は最低だ...


「ここからは教師じゃなく話す」

彼女はじっと俺を見つめている


「藍野さんはすごくいい子で頑張ってて
でも寂しがりでよく泣いて...

ほっとけなくて、何かしてあげたいって
思うようになってた

口実だって言ってた勉強会も
俺も楽しかったんだ いつも...」




「俺も好きだ」


そう言ったとたん大きな瞳から涙が溢れた

喜んでいる彼女の頭を撫でながら

俺は罪悪感でいっぱいだった...


「でもな?今のは俺個人の気持ちだから...

付き合えないのは変わらない。俺は教師だ」


顔を抑えて俯く彼女に伝える

「答えが決まってるんだから
気持ちを伝えるのは止めようと思ってた

でも藍野さんの気持ちも
俺の立場を考えてくれたのも嬉しくて

だからきれいごと並べて断るだけなんて
ひどいと思ったんだ。期待させてごめん」


『嬉しいです...』

涙をぬぐいながらそう言った




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