
飴と鞭と甘いワナ
第4章 scene Ⅳ
N side
ドアを開けて驚いた。
大野さんの挙動不審なんかどうでも良いけど
その後ろにいた人物に見覚えがあったから。
しかも、良い意味じゃなくて。
「あんた…確か…」
「…先日は、どーも?」
ニヤリと笑うその顔は間違いなく
「すばる」 だよな。
「何であんたがここに?」
ああダメだ
イラつく
雅紀がやたらと連発した名前の奴だからかな
「…大野さんの、オトモダチ❤」
…❤付けんなよ、キモいから。
「で、何でここにいるわけ?」
段々と言葉に刺が出てくる
雅紀の恋人じゃないって聞いても、ムカつくもんはムカつく
「おたくさんの、事ですわ」
「は?」
「俺の大事な店で、盛んなや」
「……」
そうだった…
雅紀、押し倒したとこ見られたんだっけ。
けどコイツが来なきゃ、雅紀と楽しめたんだ。
そう思ったら謝る気も失せてしまった。
でもここは大人として
「申し訳ない」
全く気持ちの入っていない謝罪を口にした
