
飴と鞭と甘いワナ
第4章 scene Ⅳ
「気持ち、全く入ってへん謝罪やなぁ
…ま、ええわもう。大野さん、ほな帰るで」
すばるが笑いながら立ち上がると
すれ違いざまに俺の肩を叩いた。
そして
「…あんま、相葉くん見くびんない方がええで?にのみや、さん」
意味ありげに、俺の耳許で囁いてから
後ろ手を振って、帰っていった。
ー…なんだよ、見くびるって
雅紀が何だっつーんだよ
その
"俺の方が雅紀を良く知ってます "な感じが気にくわない
「えーと、にの?」
大野さんが伺うような声で俺を呼んだ。
「…なんですか」
「いや、何って…仕事しよ?」
「…すいません、俺今日休みます!」
もう、仕事の気分にならなかった。
そのまま踵を返して引き返す。
さっさと帰ってしまえ。
「ええ!?ちょっとにの!」
大野さんが慌てて俺の腕を掴む
「うるさいなー!もう帰る!」
ただの八つ当たりなのは充分承知している
でも、大野さんがアイツと友達だったっつーのも引っ掛かってるんだ
