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飴と鞭と甘いワナ

第4章 scene Ⅳ



やたら疲れて帰った時には、すっかり脱力していて
体が怠くて堪らなかった。

そう言えば、やたら寒い気もする。
お腹も空いてるはずなのに、食欲もない。

「参ったな…」

本当に体調を崩してしまったらしい。
でも、寝室まで歩く気力もない。

もう、このままでいいや…とフローリングに横になった時

スマホの着信音が聞こえてきた。

誰だよこんな時に…
気力もないままろくに名前も見ずに通話をタップする。

「はい……」
「にの?…俺だけど」

聞きなれた声。

「雅紀…?」
…珍しい、雅紀からなんて。

でも今日は、苛める元気もなかった。
頭も痛くなってきてるし。

「…にの?もしかして体調悪い?」
声だけで分かるのかよ。

すぐに俺の異変に気付くなんか、怖すぎだっつーの。
だけど、そんな憎まれ口すら叩けない

「そうだよ。…だから切るぞ」
「今から行くから!」

は?
いや、来なくていいから!…と、返す前に
さっさと通話は一方的に切られていた。


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